投票権は権利だが、制度は中立ではない
――世代間対立ではなく、行政システムの設計不備の話
選挙のたびに「世代間対立」が激しく繰り返される。
だがこの問題は、基本的には制度設計の誤りでしかない。
問題の所在
投票権は個人の権利として一律に与えられている。
しかし現実の社会では、負担者(拠出)と受益者が年齢で体系的に分かれる。
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現役世代:
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負担は現在進行形
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受益は将来不確実
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高齢世代:
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追加負担は相対的に小さい
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受益は即時
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将来コストは寿命の外に出やすい
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この時間軸の非対称性がある状態で、票の重みを一律にすると何が起きるか。
起きていること
人口動態が逆三角形になると、合理的な行動はこうなる。
受益者側が多数派になり、拠出側に対して無制限に要求する。
これは善悪の問題ではない。
インセンティブの帰結だ。
政治も行政も、これを補正しない。
理由は単純で、「民意だから」。
しかしそれは、制度が人口動態の反転を想定していなかったことを意味する。
これは「思想」ではなく「仕様漏れ」
民主制は暗黙に、
「有権者は将来も含めた社会の持続性を考慮して投票する」
と仮定している。
だがこの仮定は、人口が増え続ける社会では偶然うまく機能しただけだ。
人口減少局面では破綻する。
欠けているのは、次の補正項である。
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将来世代の代理(時間軸の補正)
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拠出と受益の非対称性に対する調整
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人口動態変化に応じた自動補正メカニズム
結論
「世代間対立」は無益。誰かを責めても解決しない。
問題は、条件変化に適応できない行政システムの欠陥にある。
これは価値判断ではなく、工学的分析の帰結。
制度は、前提が変われば更新されなければならない。
人口動態が変わった以上、民主制の運用も更新されるべきだ。
――それだけの話である。
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