円安・国富流出・分配崩壊
――貨幣・為替から見た「日本の富の総量」仮説
1. 問題設定
現在の日本は、
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経済成長していない
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近年は国債も大きく増やしていない
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にもかかわらず、円安基調が定着している
この現象は、
金融緩和・金利差・投機だけでは説明しきれない。
2. 基本構造:円安を生むフロー
(1) 国外への恒常的フロー
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外資・海外企業は
日本国内で得た-
配当
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家賃
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事業利益
を
ドル転・元転等する
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これは機械的に
円売り=円安圧
(2) 対抗フローの偏在
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円安は輸出企業に有利
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外貨建て売上の円換算利益が増加
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しかしその利益は
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家計
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内需
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社会全体
に広く分配されない
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3. 分配構造の決定的歪み
輸出戻し税(消費税還付)
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消費税は
国内の庶民・内需部門から広く徴収 -
輸出企業には
輸出戻し税として集中還流
結果:
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円安による
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輸入物価上昇
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実質賃金低下
は家計が直撃
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為替メリットは
輸出企業にのみ滞留
👉 社会的バッファーが機能していない
4. 仮説:円安は「国富流出」のマーカーではないか
ここでの仮説は、こう。
経済成長せず
財政拡張もなく
にもかかわらず円安が定着する現象は、日本国内で生み出された富が、
ストック・フローの両面で国外に流出し、
国内に再循環していないことの
“結果指標(マーカー)”の一つではないか
重要なのは:
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為替=富そのもの
ではない -
しかし為替は
富の帰属・循環・期待の歪みを集約した症状
5. 「観測不能」問題への回答
確かに、
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GDP
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各種経済指標
はすべて貨幣ベースであり、
「富の総量」を直接測ることはできない。
だが、以下は観測可能。
(1) ストックの帰属
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企業・不動産・インフラの
外国人保有比率 -
将来キャッシュフローの帰属先の変化
(2) フローの恒常性
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所得収支(配当・利子・賃料)
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ロイヤリティ・デジタル収支
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景気に関係なく続く構造的流出
(3) 分配の吸収先
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為替変動を
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家計が吸収しているか
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特定セクターが独占しているか
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(4) 行動の変化
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国内投資の回避
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内需の萎縮
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外資が新規投資ではなく既存資産取得を選ぶ行動
👉 これらが同方向に揃うこと自体が、
「富の循環が壊れている」強いシグナル。
6. 結論(主張ではなく整理)
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円安は単一要因ではない
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しかし現在の円安は
国富の帰属・循環・分配の劣化を反映した構造現象
として読む必要がある -
特に
庶民から抜け、輸出企業にのみ滞留する分配構造
は、社会の耐久力を著しく削っている