経産省が掲げる「キャッシュレス推進」は、表向きは近代化政策だが、構造を読むとまったく別の姿が見えてくる。
それは 「国が金を払いたくない」「技術もない」「だから民間に丸投げしたい」 という短期的都合だけで組み上げられた、制度としての破綻だ。
そしてその破綻は、貨幣制度の根本を理解していないことから生じている。
1. 貨幣ではないものを「貨幣」として扱った政策的ミス
PayPayや楽天Payのような“ポイント決済”は、貨幣の要件を満たしていない。
- 換金不能
- 発行主体の経済圏でしか使えない
- 有効期限あり
- 価値保存性が弱い
つまりこれは 企業ポイント=企業の負債 であり、国家の信用を基盤とする「貨幣」ではない。
それを国が「キャッシュレス化の柱」として扱った時点で、制度の整合性は崩壊している。
2. 支払う側はポイント、受け取る側は手数料──制度として矛盾している
ポイント決済の構造はこうだ。
- 支払う側:貨幣ではなくポイント
- 受け取る側:2〜7%の手数料を負担
- 国:キャッシュレス化の“実績”だけ得る
これは貨幣論的に見ても、制度論的に見ても破綻している。
貨幣でないものを貨幣のように扱わせ、貨幣のような手数料を取る。
この構造を国策として推進したのは、制度設計として致命的だ。
3. 国がやるべきインフラ整備を、民間に丸投げした
本来、キャッシュレス化を国策として進めるなら、国が負担すべき領域がある。
- 決済インフラの整備
- 手数料の補助
- 公的デジタル通貨(CBDC)の提供
- 銀行APIの標準化
しかし現実は、
- 国は金を出さない
- 技術もない
- だから規制を緩めて民間に丸投げ
- 店舗に手数料負担を押しつける
という構造になっている。
これは政策ではなく、責任放棄だ。
4. 「開示すればいいでしょ?」という猿知恵
経産省の資料には「手数料の開示を進める」とある。
だが、開示したところで何も変わらない。
- 店舗は交渉できない
- 手数料は下がらない
- 決済インフラは民間のまま
- 国は何も負担しない
つまりこれは、
「問題の本質を理解していない」か「理解していても金を出したくない」
そのどちらかだ。
どちらにせよ、政策としては猿知恵の域を出ない。
5. 国が貨幣制度の根本を忘れたとき、政策は壊れる
貨幣とは本来、国家が責任を持つ公共財だ。
- 価値の保存
- 交換の媒介
- 一般受容性
- 国家信用の裏付け
これらを満たすからこそ貨幣は貨幣であり、
だからこそ国家が責任を持つべき領域なのだ。
それを忘れた結果、
- 企業ポイントを貨幣扱い
- 店舗に手数料負担を押しつけ
- 国はインフラ整備を放棄
- 「開示すればOK」という空虚な対策
という、制度としての破綻が生まれた。
6. 結論:これは制度設計の敗北である
キャッシュレス化を国策として進めるなら、国が責任を持つべきだ。
- 手数料は国が補助する
- 公共性の高い分野はゼロ手数料化する
- ゆくゆくは日銀がCBDCを提供する
これが本来の筋だ。
それができない・やらない・考えすらしないのなら、
国が「貨幣とは何か」を忘れたということになる。
静かに、そして冷静に、
私たちはその構造的な欺瞞を見抜いていくしかない。
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