2025年6月12日木曜日

備蓄米放出を「実績」とする欺瞞

小泉農相はYouTube対談にて、

「東日本大震災時でも備蓄米の放出は約4万トン程度。だから30万トンを切っても問題ない」

という趣旨の発言をしていた。


だが、この論理は極めて危うい。


震災時は国内物流の問題であり、国際的な輸入は途絶えていなかった。

真に備蓄米が必要となるのは、食料輸入が停止する状況——

国際紛争、世界的な食料危機、あるいは輸送路の遮断時である。


日本の食料自給率を冷静に見れば、輸入が止まった際に満足な食事を維持できるのは国民の2~3割程度に過ぎない。

これが現実だ。


にもかかわらず、過去の一時的な国内事例を一般化して、

国家備蓄の水準低下を正当化する発言は極めて短絡的であり、

国家安全保障の観点から到底容認できるものではない。


さらに公明党は、この仕組みの導入を**「実績」として誇示**している。

だが本質は「場当たり的な市場対応策」に過ぎず、

構造的なリスク管理を損なう動きであることを忘れてはならない。


政治は未来に責任を持つ営みである。

備蓄とは、「平時の快適さ」ではなく「非常時の生存」を支える最後の盾だ。

その盾を軽視する政策は、決して誇るべき実績ではない。

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