1. はじめに:精神医療が抱える“構造的矛盾”
精神医療は本来、人間の内側を扱う領域である。
しかし現在の日本では、「医療」と呼ぶには構造的な条件を満たしていないケースが多い。
原因は単純だ。
精神科が扱うべき因果が“物理ではなく、構造と文脈”だからである。
それにも関わらず、現場の診療は“症状”だけを切り離して扱う。
この矛盾こそが、医療としての根本的破綻を生んでいる。
2. 医療として成立するための条件
本来、医療には最低限の成立条件が存在する。
① 原因の特定
② 個体のモデル化
③ 介入の再現性
④ 専門家の判断が患者より精密であること
精神医療は、このうち複数が成立しにくい構造にある。
3. 精神科特有の問題:原因が“脳”ではなく“環境”にあることが多い
多くの「精神症状」と呼ばれているものは、実際には
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労働環境
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人間関係
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社会的プレッシャー
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不合理な扱い
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生活構造の破綻
こういった**外的ストレスに対する“正常な反応”**である。
しかし診療現場では、これらを原因として扱わず、ただ“症状”に薬を当てはめていく。
結果、
“社会由来の痛み”が“個人の病気”として処理される。
これは医療行為として因果が成立していない。
4. なぜこうなるのか:精神医療の教育構造の欠陥
精神科医の教育では、
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社会構造
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倫理モデル
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個人が置かれた文脈
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ストレス因果
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価値観と行動の連動
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個人史の構造化
これらを読む訓練がほぼ提供されていない。
扱うべき対象は“人間全体”なのに、教育は“脳の病気”としてしか扱わない。
この矛盾が、精神医療を医療として成立しにくい領域にしている。
5. 過剰投薬の構造:保険制度が招く“漫然治療”
保険制度の仕組み上、
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長期処方
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予防投薬
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微量を継続させる
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本質的改善が目的にならない
こういった「過剰医療」を助長する構造がある。
特に精神科では、
医学的根拠の乏しい「予防的処方」が常態化している。
結果として、
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意欲の低下
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QOLの制限
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社会復帰の遅れ
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長期通院化
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医療依存の固定化
これらの問題が生まれる。
もはや医療というより、「状態維持による産業化」と呼んだ方が正確である。
6. 社会的損失:本来“壊れる必要のなかった人”が壊れていく
本来、環境が悪いだけの人が、
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自己責任化され
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病名を与えられ
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薬物療法で鈍らされ
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社会から切り離され
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労働力として失われる
これは個人の問題ではなく、
社会の側の損失であり、構造的失敗である。
7. 対案:国立医療監査法人+AIによるカルテスクリーニング
精神医療の構造問題は、個人の努力では解決できない。
必要なのは制度の更新である。
① 国立医療監査法人の設立
精神科領域を中心に、投薬・診断・治療プロセスを第三者が監査する仕組み。
② AIによる電子カルテのスクリーニング
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過剰投薬
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意味のない長期処方
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誤診パターン
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不自然な診療コード
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ガイドライン逸脱
これらを自動検出して是正する。
これにより、
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過剰医療の削減
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保険財政の適正化
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患者のQOL向上
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本来必要な医療の優先
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社会損失の縮小
が実現できる。
8. 結語:これは「医師の問題」ではなく“構造の問題”
医師個人の善悪ではない。
精神科に限らず、
構造が誤っていれば、正しい医療は成立しない。
精神医療の問題は、
患者でも医師でもなく、
制度が“人間の構造”を扱うように作られていないことにある。
解決すべきは個人ではなく社会。
更新すべきは感情ではなく構造。
そしてこれは、
未来世代のために必ず必要な議論である。
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