https://news.yahoo.co.jp/articles/2d0dca2c8c89870fec49bd01943525621a830745?page=2
【記事】
「何かしなければいけないということが広く認識されたというのは第一歩で、それは喜ばしいこと」
(東京大学 社会科学研究所・近藤絢子教授)
【私見】
「何かしなければ」という“認識の共有”に満足する段階は、もはや過ぎて久しい。氷河期世代の人生被害は不可逆であり、第一歩に留まるにはあまりに遅すぎる。“認識”を“政策”に変える覚悟と構造的理解が欠けたままでは、自己満足の域を出ない。
【記事】
「世代全体の平均年収が上の世代に追いつかない。下側がより下がる形で下がっているため、非常に生活が苦しい人の割合が高い」
【私見】
この分析自体は正しい。だが、問題の本質は**“社会全体に対する再分配の構造”が、最も痛んだ層に届かない”ことにある。この実情を前に、「平均値」や「改善傾向」に目を向ける姿勢は、むしろ不作為の正当化**に映る。
【記事】
「女性で、正社員の仕事につけても出産退職しちゃう人がたくさんいるが、若い世代ほどその割合は減っている。バブル世代より氷河期世代の方が正社員でいる率が高かったり、年収が高かったりする」
【私見】
統計的に「改善」して見える部分を取り上げて、「氷河期世代にも明るい面がある」とする論法は、個人レベルの努力と構造的苦境をすり替える危険なロジックである。生涯年収、老後の備え、住宅取得、家族形成といった、人生設計の根幹は損なわれたままだ。“今よければOK”の視野狭窄が、国策の失敗を覆い隠している。
【記事】
「就職氷河期で出生率が下がったというのは、ちょっとおかしいかなと」
【私見】
氷河期による少子化加速の因果を否定するには、あまりに単線的である。複数の要因が複雑に絡み合う中で、「その世代の出生率が一時的に回復したから問題ではない」という結論は、問題の重層性を理解していない証左である。統計を“見ない自由”ではなく、“見せたいデータだけを示す不誠実さ”が透けて見える。
総括:構造を直視せよ。
就職氷河期世代の問題は、「リスキリング」や「平均的回復」といった小手先の語彙では語り切れない。
取り返しのつかない20年~30年を奪われた世代に対し、国家がなすべきは恩赦的・構造的な社会投資である。
「朝が怖くて震えて泣いた」
その言葉に見える絶望を、あなたはどれだけ本気で理解しているか。
東大教授の発言を“専門家の言葉”として見るのではなく、無責任な観念論として受け止めた上で、その空白を埋める論理と視点を、私たち自身が持つべき時に来ている。
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