――理念の空中戦を終わらせ、制度設計に着地させる
20世紀を通して数多くの人類的理念が語られてきた。
「人類の平和」「地球市民」「普遍的人権」――そのどれもが崇高であり、人々の心を鼓舞してきた。だが現実には、それらの理念が経済システムや国家制度、国際秩序と整合的に結びつくことは稀であった。
多くの場合、理想は語られても、「どう実現するのか」という問いに対して現実的な制度設計や戦略の提示が追いついていなかった。
その背景には、理念を語る人々が必ずしも政治・経済・社会構造に対する十分な知見をもっていなかったという事情がある。逆に、制度設計を担う人々が理念を軽視してきた歴史もある。
今必要なのは、この断絶を越える知性だ。
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理念に対する深い内省と敬意を持ちながらも、
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それを「構造」や「制度」の言葉に翻訳できる力。
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現実を冷静に見つめるリアリズムと、
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それを変えるための意思としての構想力。
このような立場に立つことで、従来の宗教的理想主義や、現実主義に偏った技術官僚的視点を超えた、新しい人間観・社会観の構築が可能になるのではないか。
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