小泉農相はYouTube対談にて、
「東日本大震災時でも備蓄米の放出は約4万トン程度。だから30万トンを切っても問題ない」
という趣旨の発言をしていた。
だが、この論理は極めて危うい。
震災時は国内物流の問題であり、国際的な輸入は途絶えていなかった。
真に備蓄米が必要となるのは、食料輸入が停止する状況——
国際紛争、世界的な食料危機、あるいは輸送路の遮断時である。
日本の食料自給率を冷静に見れば、輸入が止まった際に満足な食事を維持できるのは国民の2~3割程度に過ぎない。
これが現実だ。
にもかかわらず、過去の一時的な国内事例を一般化して、
国家備蓄の水準低下を正当化する発言は極めて短絡的であり、
国家安全保障の観点から到底容認できるものではない。
さらに公明党は、この仕組みの導入を**「実績」として誇示**している。
だが本質は「場当たり的な市場対応策」に過ぎず、
構造的なリスク管理を損なう動きであることを忘れてはならない。
政治は未来に責任を持つ営みである。
備蓄とは、「平時の快適さ」ではなく「非常時の生存」を支える最後の盾だ。
その盾を軽視する政策は、決して誇るべき実績ではない。